美しい人
自分が一番乗りだと思い教室に入ると先に来てるクラスメートが二名。
の隣の席で鈴鹿と姫条が何やら真面目な顔して相談している。と鈴鹿は同じクラスで隣同士の席だが姫条は違うクラスで。
わざわざこんな朝早くから何をしているのか・・。
「おはよ」
「おう!」
「オハヨーちゃんまっとったでーー!!女神様!」
朝っぱらから女神呼ばわりされて少し後ずさる。
「何・・?言っとくけど私は悪事に加担しないよ」 大きな目を訝しげに細める。
偶然この二人がカンニングペーパーを作っているところに遭遇したのが昨日の事の様に思い返されるであった。
「アカン、全然信用無いわぁ〜・・そうじゃないねん。今日補習があってー」
「ヒムロッチの?君ら補習組?」
「まぁ、いつものごとくな」
ケロリと鈴鹿は言う。テスト終了後毎度のことである。
「そっか、がんばれ。・・・もしかして今サボる相談とかしてた?」
「うっ!なんで分かねん?自分エスパーちゃうか!?」
鈴鹿はばつが悪そうに顔をかいている。
この二人が考えそうな事は大体分かる。本当に自分の好きなことしかしたくないのだ。その辺は親友の奈津美も同じであるが。 「ちゃんなんかいいアイディアないか?」 「あるよ」 はニッコリ笑った。 「人間あきらめが肝心ってネ」 そんなんアイディアちゃうわと姫条はなげいたが
(あのヒムロッチから逃げられるとは思えません)
ご愁傷様とは二人に合掌した。
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「あーーーー・・・。バスケやりてぇ」
授業も終わり、皆それぞれ帰ったり部活に行ったりしている時間。
鈴鹿・姫条補習組みはもちろん教室にいた。 なぜかと下校の誘いに来た奈津美もいっしょにいる。 帰ろうにも珍しく鈴鹿が駄々をこねて帰らせもらえないのだ。放課後になるにつれナーバスになってきたらしい。
「なぁ、俺と代わってくれ」
アンタそんな無茶な・・という鈴鹿の言葉に
「ゴメンネ、私必要ないからv」
イヤミを交えてバッサリ切り捨てる。
は葉月と学年トップを争うくらい頭がいいのであった。 「じゃぁ、藤井」 「アタシ今回はがんばったんだからねー!」 奈津美もこの補習組に入ることがあるが今回はにしごいてもらったのだ。かなりスレスレではあったが補習は免れた。
「ホンマかなわんわ。毎回毎回。ようやるわアイツ」
「ヒムロッチはさ、もう補習が趣味なんだよ。こんなものが楽しいんだよ!」
「バスケやんねぇと俺もう死ぬ・・氷室のバカヤロ・・」
それぞれ氷室の悪口を言い出す3人 はおもしろそうに聞いていたが 「んーー、でもちょっと羨ましいかも。補習」
突然おかしなことを言い出した。 「はぁ!?」と即座に3人は思いっきりツッコむ。アンタは受けたコトが無いからそんなコトが言えんだ!と言ってやりたい。
「何で?」
里佳は満面の笑みで「だってヒムロッチ、かっこいいもんv」 「・・・」
「・・・」
「・・・あんた趣味ワル・・」
さすがの奈津美も思い切りジト目でを見た。他二人はただ呆れている。 なんせ奈津美にとって氷室は天敵なのである。いくら顔が整っていようと厳しいかたい表情しか見せない氷室は鬼だ。
「え?氷室先生キレイな顔してるよ、目の保養目の保養。問題解けるとね、少しだけ笑ってくれるの!かなりレアじゃない?これは一見の価値ありだよ!」
目を輝かせ氷室について語ってくるに
「男の俺達が男の笑顔見てもなんだっつーの・・」
鈴鹿は心底呆れたように呟いた。
「ちゃん悲しいわ。あんなんで目の保養せえんといて俺のコト見てや!」
がしっとの肩をつかみうったえてくる姫条に「アンタじゃ役不足―」
と奈津美がにらんだ。
そんな姫条を無視してはとなりにいる鈴鹿をじーっと見てきた。
「?何だよ」
「目の保養v」
「!・・ばっかじゃねーのお前、保養になんかなるかよ!」
さぁっと顔を赤くしてデコピン一発。
「にゃー!いたい・・」
女子に対して押せ押せな態度を取る姫条はさらりとかわすが、鈴鹿にはむしろ自分からしかけるであった。その度に小突かれたりしてるがこりずには鈴鹿をからかう。そのやり取りを楽しんでいるのだから質が悪い。 「そろそろヒムロッチ来るんじゃない?はやくかえろ!」 時計を見て「ゲ」と思った奈津美がを急かした。このまま残っていたら氷室に「君もついでに受けていきなさい」と言われかねない。 「そだね、それでは君達の健闘を祈る!」 はおー!と姫条の手をつかみ上に挙げ、ついでに鈴鹿の頭をわさわさと撫で奈津美と帰っていった。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
二人の声が完全に聞こえなくなった頃。 「なぁ、鈴鹿」 先ほどと違い姫条は何やら険しい顔つきである。 鈴鹿はグシャグシャにされた頭を手で整えている。 「俺、お前になら取られてもしゃあないかなーなんて思とったけどアイツだけはあかん」 「何の話だよ」 思わず鈴鹿の手が止まる。 「だって今の聞いたやろ!?なんやねん氷室がかっこいいって!まさかちゃんアイツに惚れてんじゃー!?」 「おいおい落ち着けよ。先公だぜ」 「いや、氷室を語ってるときのちゃんの顔!あれは恋する乙女の目やで!」
「そ、そうなのか・・?」
女の子というものはミーハー根性で好きなことを語る時もそういう顔になっているものだ。 「って、ちょ、ちょ
とまて。お、俺は別にのことなんて・・よ、そんな・・・・・・・・・・え!?お前アイツ好きなの!?」 ワンテンポ以上遅れていろんなコトに気付いた鈴鹿に姫条はビシっと
指さす。 「今さら何言うてんねん自分。俺とお前はとっくの前からライバルやで!とにかく氷室にだけはぜっっったい負けん!」 炎を出しそうな勢いで燃えている姫条をよそに鈴鹿はパニくっていた。 確かにのコトは前から気になっていたが恋愛沙汰が苦手な鈴鹿はその事については考えないようにしてきた。意識してしまうと緊張してしまいそれがイヤだったのである。
それをこんなカタチで自覚させられるとは・・・鈴鹿和馬哀れなり。 その後の補習は二人して妙に殺気立っており、ヤル気を出してくれたのかと勘違いする氷室がいた。
ム・・ムダに長い・・・。 タイトルの「美しい人」はずばりヒムロッチ! でもこの話はデコピンする鈴鹿とおたおたする姫条、そして鈴鹿の頭をわさわさなでたい・・!!わさわさ・・それが書きたかったんですハイ。続かない話なんですが、ヒロインは多分鈴鹿が好きなんじゃないかと(笑)02.7.26
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